書籍紹介「人間使い捨て国家」

 今回は久しぶりに書籍の紹介をします。
 タイトルにある「人間使い捨て国家」(明石順平:角川新書)です。
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人間使い捨て国家 (角川新書) (日本語) 新書 – 2019/12/7
明石 順平


 独断と偏見で評価いたしますと、今回の書籍はⒶです。
 個人的に久しぶりにインパクトのある書籍に出会いました。
 明石氏のすごさは弁護士という、ともすると恵まれた環境にいながら、まだお若いのに政府の施策等に疑問を抱き、真っ向から問題点を指摘できる揺るぎない信念を持っているところです。
 私が特に印象に残っている箇所は、
 第一に、「第4章のコンビニ ー 現代の小作農」です。コンビニの経営実態がこれほどひどいとは…。あまりにも衝撃的な内容がしばらく頭から離れませんでした。なぜ大阪のコンビニオーナーが、24時間営業に反旗を翻したのかもよくわかったのです。
 学生の方も安易にコンビニでバイトしない方が良いのかもしれません。
 そのほか、個人的におすすめな箇所は、
 第5章 外国人労働者 ―現代の奴隷労働― 
 第6章 公務員 ―公営ブラック企業―
 第8章 脱・人間使い捨て国家

 です。
 第5章の外国人労働者について、多くの方は素行の悪い不法就労者を想像するかもしれませんが、それは全体の中の一部であって、そのような状況に追い込んだのは日本の政策・制度だということがよくわかります。
 第6章は教員の方必見です。「給特法」をはじめ問題点を的確に指摘してくれています。
 そして最後の第8章では、筆者は批判だけにとどまらず前向きに改善策を指摘している点も評価できます。文句を言っているだけでは世の中は変わりませんから。

 データの引用ではやや偏りを感じた箇所も2,3ありましたが、全体を通して数多くのデータを取上げ、客観的に分析しながら問題点を指摘するなど、膨大な時間・労力をかけて執筆されているのがよくわかります。
 
 確かに「本当に法律を変えることができるのか? 」「変えられたとしても全組織・国民が法律をしっかり遵守できるのか? 」といった不安は大きいかもしれません。
 しかし、これほど著者の強い思いを感じるとともに、内容も濃い新書はなかなか出会えません。
 
 ぜひ政権支持者、保守層の方も含め、まっさらな気持ちで読んでみてください。
 「今のままの雇用・労働施策ではだめだから、何らかの行動を起こさねばならない! 」という気持ちがわいてくるような、そんな作品です。ぜひ読んでみてください。

新型コロナウイルス関連で3本の記事を紹介!

 新型コロナウイルス対策に関し、相変わらず日本政府が慌てふためいているようです。
 26日に大型イベントの自粛を要請したかと思えば、27日には唐突にも首相自ら全国の小中高校に対し、「3月2日からの臨時休校」を要請したのです。
 その政府方針を受けて、ここ1,2日だけでも様々な記事、寄稿、コメントが寄せられましたが、総じて政府の対応には批判的なものが多かったようです。
 限られた時間の中で、私なりに参考になりそうな記事・寄稿を3本選びました。
 今後日本での感染症対策をどうしたらよいのか、皆さんも一緒に考えていただける材料になれば幸いです。
 記事はコチラ☟

全国民困惑の休校要請、場当たり的で五月雨式の極み


全国一斉休校で新型肺炎問題は悪化する


新型コロナウイルスとの長期戦にあたって心得るべき5つのこと(特別寄稿)



 今回は記事・文章が多く、読むだけでも大変ですので私は多くを語りませんが、各筆者それぞれ違う視点から問題に切り込んでおり、的確な指摘や疑問を述べられていると思うのです。
 初期対応の遅れ、政府の場当たり的な対応・迷走(首相が公式発表する前の根回しや情報取集がない)、政府の発動(活動制限)で影響を受ける組織や個人への補償の問題、学校を休校にすることの感染防止効果への疑問、市民一人一人がすべき明瞭な感染防止対策 などなど参考になる点が多々あります。
 後悔・批判するだけでは先に進めませんから、失敗から学んだことや身に着けた知識を生かして、今後より効果的な感染拡大防止策をどれだけ施せるかが終息へのカギではないでしょうか?

 それにしても安倍首相は本当に大丈夫なのでしょうか? ここまで国民・子供たちに制約(不自由)をさせておいて、もし2-3週間たってもほとんど効果がなかったとしたら、その反発たるやすさまじいことが予想され、政権が倒れてもおかしくない状況に陥る危険すらあります。 
 首相がイニシアチブをとること自体は悪いことではありませんが、その場当たり的な慌てふためく様子を世界にさらすことで、他国に「日本はかなり危ない」との先入観を持たれてしまいがちなのです。
 
 どうか政府には、決して早く終息させようと焦ったりせず、最悪の事態まで内内に想定しておいたうえで、時間がかかっても確実に効果を上げる方法を地味に粘り強く実践していってほしいものです。

新型コロナウイルスで東京五輪はどうなる?

 政府が「感染症対策はここ1~2週間が正念場」との見解を述べ、スポーツ等大型イベントの自粛・延期等が要請されました。
それを受けてサッカー、野球、ラグビーをはじめ、様々なスポーツで大会延期や無観客試合などが発表される事態となっています。
 また学校関係でも、北海道で小中学校が一定期間休校となるなど、日本全国至るところにウイルス感染拡大の影響が表れています..。
  
 スポーツイベントが次々と中止・延期・縮小となる中、多くの方が「東京オリンピックは一体どうなるのだろう? 」と心配し始めたのも当然でしょう。
 これまでにも東京五輪に関する寄稿や情報は掲載されていますが、いよいよIOC委員のコメント(公式見解ではないようです)が発表される事態となりました。記事はコチラ☟

東京オリンピック開催判断「期限は5月下旬」IOC委員 新型コロナ感染拡大で


 これに対して早速政府もコメントを出していますが、ちょっと気になることがあります。
 以前から感じていたのですが、「東京五輪は必ずやる!」というニュアンスが強すぎるのです。招致運動から国立競技場をはじめとする競技施設の建設など、これまでの事前準備や大会関係者のオリンピック開催への熱い思いを推察すれば、何が何でも実施したい気持ちはわかります。
 しかし、今回の新型ウイルス感染については、未知なるものであるが故に終息がいつになるのか、今のところ予測はまったくできないのです。
 ですから思いや願望ではなく、最悪の事態まで考えたうえで慎重な発言をするべきではないでしょうか?
 例えば、
「現在オリンピックの準備は順調に進んでおり、主催国(市)としても開催を待ち望んでおります。新型ウイルス感染ができるだけ早く終息するように、我が国でも全力で感染拡大防止策を実行しておりますので、各国におきましても足並みをそろえて感染症の終息に向けご協力をお願いいたします。」
というように、「最悪の事態になれば開催しようにも開催できない」含みを持たせたコメントを出しておいた方が、不運にも中止となったとしても、各国は日本に理解を示してくれると思うのです。

 今回の感染症では、日本はクルーズ船対応、中国など外国への渡航・入国対応、そして水際で防ぎきれず国内で感染が起こり中国、韓国に次ぐ感染者数になってしまったことなどから、危機管理に関する日本の国際的評価はガタ落ちとなっています。
 各国は日本の危機管理のなさから、東京オリンピックの暑さ対策、テロ対策、災害対策、病気・感染症対策を不安視するようになりますから、「絶対にやる!」と意気込んで、できなかった時の反動・批判は極めて大きくなるでしょう。
 ですから、上記例のように謙虚かつ慎重にコメントした方が良いと思うわけです。

 どうか政府・JOC・組織委員会には、目先の利益(インバウンド利益、放映収益、スポンサー料など)や関係者団体への忖度に惑わされることなく、最悪のリスクを考えた対応をしてほしいと思います。

首都機能移転の議論再開!

 以前一度ブログでも取り上げたと思いますが、昨日地方新聞の社説に「首都機能移転」の記事が掲載されていましたので、撮影した画像を貼り付けます。多少見づらいと思いますがご容赦ください(画像の回転ができずにすみません)。☟
首都機能移転(社説)
 記事にもありますように、かつて30年近くも前に「首都移転計画」はあったのです。具体的に北関東~福島県、静岡県西部~愛知県~三重県が候補地に挙がりました。
 なぜ首都機能移転が必要なのか改めて整理しますと、一番は「災害時のリスク分散と首都機能の維持」でしょう。
 昨年12月、NHKで数回にわたって放送された「首都直下型地震」のシミュレーションは、今でも私の脳裏に焼き付いています。予想がどこまで当たるかわかりませんが、専門家が「30年以内に首都圏直下型大地震が起こる確率が70%」と言っているわけですから、最悪の事態を想定すれば、今すぐにでも首都機能(少なくとも政治機能だけは)移転に取り掛かるべきではないでしょうか?
 大災害が発生した時、かじ取り役の政府・官庁が機能しなければ、避難・救助・復興もままならないはずです。

 二番目に実質的な「市民の居住環境の悪化を防ぐための人口の分散」です。人口が過度に集中したことで交通渋滞、地価・家賃の上昇、大気汚染・騒音や地盤沈下などの公害、都市気候特有のヒートアイランド現象、ゲリラ豪雨の発生、天災発生時のインフラダメージ(停電等ライフラインの寸断)など多くのリスクを抱えています。

 三番目は二番とも連動しますが「人口流入による地方の経済・文化活性化」です。首都機能が移転することで、行政機構を中心にして一定規模の人口を東京から引き寄せられます。
 また首都機能移転が引き金になって、全国に学園(大学)都市や研究開発都市など様々な都市・施設をつくり、人々が強制ではなく、都市・地域の魅力に引き寄せられて集まるようになれば、人口分布のバランス、住環境や災害リスクの面からも効果があります。

 記事の最後にもありますように、「机上の空論」では意味がありません。今回の感染症対策でも日本(政府)は具体的かつ効果的な対策がなかなか打ち出せていません。
 危機意識のなさは豊かな生活に恵まれ過ぎた国民性でもあるでしょうが、どうか政府・政治家は目先の利益やその場しのぎの対処療法に目を奪われたりせずに、数十年先の日本を見つめた抜本的な改革案を作り実行してほしいと思います。
 その柱の一つが「首都機能移転」ではないかと私は思います。

 


なぜ日本国内の賃金は上がらないのか?

 日本国内における労働者の賃金はここ20数年、ほとんど上がっていません。
 私の記憶では大学時代(40年以上前)に、牛丼の吉野家が営業を開始しましたが、その時の牛丼の値段は確か300円だったと思います。ということは40年以上経過しても、牛丼の値段はほとんど変わっていない(現在の相場は350円でしょうか)ことになりますね。
 昭和53年に私は宮城県公立高校教員となりましたが、その時の初任給が97,800円だったことを今でもはっきり覚えています。その当時十数歳年上の先輩教師が、初任の時の給料は9,800円だったといいますから、給料は十数年で10倍にもなったわけです。
 ところが私の新採時から40年以上たつのに、静岡県公立学校教員の月給は約211,400円(2018年度)ですから2倍ちょっとにしかなっていません。しかも月給が上昇したのはバブル経済崩壊までで、その後20数年間は民間も公務員もほとんど上がっていないのです。
 日本人は基本的にまじめで勤勉ですので、
「バブル経済の崩壊・平成不況があったから、賃金が上がらないのもやむを得ない」
と我慢してきた方が結構多かったのではないでしょうか?

 しかし日本国内の賃金が上がらない原因はもっと他にあったのです。
 その理由を解説した記事がありましたのでリンクします。☟

元国税が暴露。日本の会社員だけ給料が20年で10%も減った理由



 記事にあるように同じ先進国で日本だけ賃金が下がっているのは確かに異常です。私も筆者と同様に、まず労働者の賃金が上がらない限り経済は活性化しないと思います。家庭の収入が増え購買意欲が増すことで消費が増え、企業の収益も増すという流れが資本主義社会では自然でしょう。

 私は日本国内の労働者の賃金が上がらない主な理由は、記事を掘り下げて次の5点ではないかと考えます。

① 単価の安い非正規雇用者(派遣、契約、パート、アルバイト等)の割合が増え、平均賃金を押し下げた
➁ 人件費節約で外国人労働者を技能実習生や留学生の形態で安く雇用したため、日本人の賃金も上がらない
③ 価格優先の消費者に引きずられ、企業が採算度外視の低価格競争に陥り、収益があがらない
④ 企業がアメリカ型の株主利益最優先と内部留保を強め、人件費にかける割合を減らしている
⑤ 日本人の勤勉さと日本型雇用形態(終身雇用制)による企業への依存が、勤務条件(賃金等)改善を鈍らせた

 このことから、賃金を含めた日本の労働条件の改善のためには、上記①~⑤の改革が必要でしょう。
①→ア.正社員の増加や、非正規を含めた「同職務同賃金」の達成
➁→イ.専門・熟練外国人労働者を増やし、日本人と同一賃金体系とする
③→ウ.公正取引委員会などの監視(罰則)を強め、不当な安売り競争に歯止めをかける
④→エ.内部留保の制限、CEO等の高額報酬を見直す
⑤→オ.ドイツのような資格やスキル、専門、経験による採用や賃金体系、自由な転職制度の導入

 教育現場だけでなく、様々な職種・業種でブラック企業・職場が増えていることが危惧されています。
 政府・企業経営者が多少人件費をかけてでも労働者が働きやすい環境を整えることが、結局は長い目で見て日本の繁栄につながっていくのではないでしょうか。
 
 
 

教師がやりがいを感じて働けるようになるために

 教師の職務や勤務条件については、これまでも何度かブログで取り上げてきました。
 今回は、再びフリージャーナリスト前屋氏の記事を取上げながらコメントしたいと思います。
記事はコチラ☟

世界も危惧する“教員を軽視し続ける国”日本


 これまでも関連した話題を取り上げてきましたが、一言で表現するなら日本の教員の労働環境がここ2,30年にわたって悪化し続け、危機的状況に陥っているということです。
この「危機的状況」は、以下の3点に集約されるのではないでしょうか。

① 給与、残業手当(原則なし)などの金銭的な対価の不足
➁ あいまいな職務範囲とその拡大(教員が引き受ける仕事の増加)と、それに伴う超過勤務(サービス残業)の増加
③ 外部(マスコミ、世論、住民、保護者など)による教員バッシングの高まり

 前屋氏の記事にもありますが、国の教育予算割合がOECD加盟国最低では、人件費(特に給与)を増やしようがありません。
給特法が廃止されない限り残業手当は支給されず、①の仕事に見合う対価は低いままですが、教育予算(うち人件費)を大幅に増やさない限り、残業月80時間以上にもなる教員が何割もいる現状では、膨大な残業手当はとても支給できません。
 ということは、まず➁の教員のすべき正式な職務を精査し、通常はほとんど残業しなくても済むような勤務形態をまず構築するべきでしょう。
 こうして超過勤務を大幅に減らしたうえで給特法を廃止し、残業手当を民間並みに支給するのです。この時点でどうしても残業しなくてはならない場合(修学旅行や部活大会等の引率など)+α程度の総残業代になっていれば、国や自治体から残業手当として増やす分の財源も十分確保できるはずです。

 しかしながら、客観的な数値で見通せないのが上記③です。私は教育委員会、学校管理職、学校関係者(評議員やPTA役員等)が積極的に学校や教員の職場環境改善のため、積極的に情報発信すべき時に来ていると思うのです。
 今やブログ、SNSなど様々な発信ツールがあります。これまで受け身一辺倒だった教育界・教育関係者も、感情的に対峙するのでなく、学校現場の実態・事実・取組を自ら積極的に世に情報発信して、多くの一般市民に学校・教員の真実を正しく知ってもらうことです。
 また不測の事態が起こってからではなく、平常時から随時マスコミ関係者とも交流を深め、素の学校の実態を知っておいてもらうことも大事でしょう。記者はエリートですから事実・真実がわかってくれば、学校・教師を一方的に非難するのでなく、公平な形で取材・報道してくれる可能性が出てくるはずだと思うのです。

 私も教員の一人として身体の動く限り教員の職場環境改善のため、執筆や講演、ブログ、HP等を通して、微力ではありますが活動していくつもりです。

教育に関わる事件・トラブルにおけるマスコミ報道の問題点

 今回は、はっきりと教育に携わる立場の人間としてのコメントとなります。
 最近、学校で「教師が子供を傷つける指導をした、暴言を吐いた」などと、教師の指導を問題視するようなニュース報道が増えているように思います。
 報道内容もほとんどは教師が「加害者=悪」、児童生徒が「被害者=善」という論調になっています。
 ところが珍しいことに、教師を擁護しているデイリー新潮の記事が本日朝のヤフーニュースに掲載されていました。
 ご覧になった方もいるかもしれませんがリンクします。☟

生徒に「足切るぞ」教師の真相 地元からは擁護の声



いつも思うのですが1つの現象(行為)だけ切り取り、それが「良いか悪いか?」と言えば「確かに悪い」というトラブル・不祥事をマスコミはよく取り上げますが、そのトラブルが起こった要因、前後の流れ、当事者の信頼関係や解決状況などを全く取上げていない報道がかなり見られます。
 この記事でも「足切るぞ!」の言葉遣いと誤解については確かに良くありませんが、その後の謝罪、児童との人間関係、保護者の納得などをみれば、このトラブルはすでに解決していたはずです。

 冷静に考えれば皆さんもわかると思いますが、子供大人を問わず、また教育現場だけでなく、人間同士の関わり合いでは必ず感情的になったり、誤解したり、もめたりする場面があります。
 そのトラブった時に、大部分の人間は誤解を解き、謝罪し、仲直りをするものです。
 私も長い教師人生を振り返って、声を荒げたり、生徒を誤解したりして生徒に気まずい思いさせたことは何度もありました。しかし、私も悪いところがあれば謝りましたし、担任時代特に大事になることはありませんでした。

 マスコミ報道姿勢の(特に学校・教師に対しての)問題点は、
① 記事にあるように断片的な現象だけ取上げ、詳しい調査もせず決めつけて善悪二元論(もちろん教師が悪)でたたくこと
➁ 第三者(中には匿名)情報であっても教師のトラブルだと安易に取り上げ、当時者間ですでに解決している問題まで蒸し返したりすること
③ そもそもテレビ・新聞報道するレベルの事件ではない(明白な人権侵害・暴力等ではなく、児童生徒に原因があって行われた厳しい指導)ことまで、教師の不祥事や失言となればすぐに飛びつき取り上げること

 などでしょうか。
 このようなマスコミの過熱報道姿勢が、意識無意識を問わず「教師は悪いことをする奴が多い!」「教育者としてあるまじき行為!」というような世論を誘導していくのです。
 そのあおりを受けた多くの仕事熱心で責任感の強い教師(まだ7,8割はいます)のモチベーションが下がり、精神的にも追い込まれてしまうのです。

 実は現場の教師が追い込まれてしまうのはマスコミだけの問題ではありません。教育委員会や学校管理職がマスコミや世論・市民を恐れるあまり、毅然とした対応をとれないケースも多々あるのです。
 明らかに教員に正義があり学校を支えてきた人間であればあるほど、教育委員会と学校管理職が体を張って当該教員を守るべきではないでしょうか?
 実は普段から記者の方とも接していると、信頼できそうな、わかってくれそうな相手が見つかる場合もあるのです。そうなればいざ窮地となった時、マスコミとの情報交換もしやすくなります。
 
 手前みそになって申し訳ありませんが、私はこれまで窮地に陥った後輩教員を数度は助けましたし、管理職時代はいじめ被害生徒と保護者のため相手方や弁護士と職を賭して闘いました。
 人間「首にならなければ上出来!」と開き直れば意外と強いものです。妻にはハラハラさせてしまいましたが、私は運よく定年まで(正確には1年前ですが)務めることができした。
 ぜひ、教育員会や学校管理職の方には、学校現場や教師を最優先に考え頑張ってほしいと思います!

 

超高齢社会到来における対策とは?

 今回は新型コロナウイルスから離れた話題です。
 日本の老年人口率(総人口における65歳以上の人口割合)は2019年9月現在で、28.4%となり、過去最多記録を更新しています。
 超高齢社会だということはご存知の方も多いと思いますが、この28.4%というのは現時点で世界断トツであるばかりか、予想で2065年には老年人口率が何と38%を超えるといわれているのです。
 昨日(20日)産経デジタルで、日本の超高齢社会の概要をまとめた記事が掲載されていました。☟

日本は世界一の「高齢化率」 高齢化のスピードも世界最速


 老年人口率自体が世界で未曽有のレベルに突入していることはもちろん心配ですが、それにもまして記事にあるように、老年人口率増加のスピードが速すぎることが問題なのです。
 かつての欧州のように増加のスピードが緩やかであれば、高齢社会への対応策をとる時間は十分取れますが、日本のように急速に変化すれば、ソフト・ハード両面で対策が追い付かなくなる危険性が高いのです。
 具体的には、社会保障費(医療費、介護費用、年金等)の急増、老人ホーム等の施設の不足、介護職の不足、医者・看護師の不足、生産年齢人口の減少による税収不足などが短期間で一気に進んでしまいます。
 このまま推移していけば国の財政はパンクしてしまいますから、既存の年金制度は維持できなくなるでしょうし、医療保険も本人負担・企業負担を増やさざるをえません。

 ところが政治家の多くは(全員とは言いません)、目先のこと(次回選挙に当選すること)しか考えず、国民に甘い夢を見させるような政策ばかり打ち出し、財政危機などを単に先送りしているだけです。
 
 国がすべきことは、日本の人口動態を直視し、少なくとも数十年先の日本を見据えて、早め早めに手を打っていくことではないでしょうか?
 これほど長期に人口減少していくわが国に完璧な策などありませんが、少なくとも将来にわたって日本国家が存続し、国民が現状の生活を何とか維持できるような手立てはあるはずです。
 今回は詳細な案は提示しませんが、年金制度の抜本的改革(例えば今の賦課式から積立式やベーシックインカムに変える)、今までの累積財政赤字(約1200兆円)の凍結とプライマリーバランスの実現、国民もある程度の税その他の負担覚悟、企業には内部留保の縮小や賃上げ、政府のタックスヘイブン取り締まり、高所得老人預金等の社会への還流、女性やニートの労働力活用、ワークシェアリングなどなど、様々な施策が考えられると思います。
 一言でいってしまえば、人口が減る分、国全体のGDP・経済成長のマイナスは覚悟し、一人当たりの質的・健康的な生活が何とか維持されるような日本社会の青写真を描くべきではないでしょうか。

 今の政治家にはとても期待できず、だれを選んでも同じかもしれませんが、それでもまだ若い候補者なら将来自分の身にも降りかかるでしょうから、年寄りよりは真剣に考えるかもしれません。
 それから、大学共通テストの記述式問題・英語民間検定試験が見送りになった件を思い出してください。まさに現場の生徒・教師・保護者がSNSや署名・陳情、集会などを通して政治を動かしたケースではないでしょうか?
 大多数の庶民が自分のことだけでなく、日本社会全体の将来を真剣に考え行動する必要があると思うのです。長い目で見ればその努力が私たち自身の生活を維持することにもつながるのではないでしょうか?

続 新型コロナウイルス対策

 連日新型コロナウイルス感染のニュースで気がめいってしまいそうですが、こればかりは無視するわけにはいかず、日々新しい情報を収集しながら対策を立てていかなければなりません。

 東京マラソンをはじめ、一般市民参加のイベントも次々と中止になっています。その決断の賛否についてコメントしませんが、相変わらず国・厚生労働省の発表・指針は歯切れが悪いものです。
 イベント開催に関する記事はコチラ☟

「イベント開催の必要性、検討を」 新型肺炎で厚労省


 中国からの観光客入国、感染者の隔離・治療方法、市民に守ってもらうこと、企業などの経済活動、そしてこのイベントの開催など、国(厚労省)が公式発表するのであれば、中途半端な方針にしないことだと思うのです。
 つまりどこまで強制・徹底なのか、はっきりしなければ主催団体もどうしてよいか迷ってしまいます。
 厚労省等の「イベントの自粛は求めない!」って、「やるならやっていいけど、もしも何かあったら自己責任だよ。」と言っているのと同じことです。
 中国からの観光客も湖北省浙江省滞在歴のある方以外はいまだに入国できますし、一体国がどこを防波堤ラインと考えているのかわかりません。
 すでに全国各地での感染が進みつつある以上、この先感染拡大を完璧に防ぐことはできないですから、以前書きましたように、
 感染者増加のスピード<回復者・完治者増加のスピード
 の流れを作っていくことだと思います。そうしてうまくいけば1~2カ月で終息することも可能かもしれません。

 そのためには一般市民はインフルエンザ対策(手洗い、マスク、こまめな部屋の換気等)+α(人込みや多人数の密閉空間をできるだけ避ける等)をできる限り実行することでしょう。
 そして新型コロナウイルス感染症状が現れた場合(受診の指針も出されている)は、すぐ医療機関で検査→入院・治療(軽度の場合は自宅待機もありうる)が迅速にできる流れを作ることでしょう。

 これまでの情報から、感染しても全く発症しないまま乗り切ってしまう人もかなりいるようですので、逆に感染者をすべて明らかにするのは無理でしょう。
 すると、外見はまったく健常である感染者が街中や職場に出ていることになりますから、しばらくは感染を完全に防ぐことはできないと思います。
 ただ、一般的に発症していない人の感染力は、発症している人より低いようですから、発症者を中心にした対処をしていくことでそれなりの効果はあるはずです。
 従って国がイベント開催について上記のように徹底しないならば、各自治体・地域の実情(感染者・発症者が多く集中していることが明らかになったかどうか)により、独自に判断をするのが効果的かもしれません。
 最大限に感染拡大スピードを抑えるなら、国は各方面から批判されながらも、明確な基準を設けて強制的に中止させるべきだとは思いますが。

 いずれにしましても、国は企業や団体、国民が不安な連鎖反応を起こさないように、わかりやすい明確な施策(場合によっては徹底や強制)を行うべきですし、私たちはある程度の覚悟を決めながらも、以前のサーズなどに比べ発症率・致死率が低いことも踏まえ、冷静にできることを行っていくべきでしょう。

厚生労働省の体罰定義・指針が混乱を招く予感

 昨年12月に親の体罰禁止に関する厚生労働省の指針はすでに公表されていましたが、昨日(2月18日)各新聞に改めて体罰の指針等が掲載されたところを見ると、国は本気で今年4月から適用する気なのでしょうか?
まずは新聞記事を見てください。☟

「子に苦痛」体罰と定義 厚労省指針、4月運用


 私は最初に地方新聞記事を読んだのですが、この厚労省の指針も、文部科学省の「いじめ定義」や「教師の体罰定義」と同様、現場の実態にそぐわないどころか、大きな混乱を招きかねないと思います。
 失礼ではありますが、有識者の方々の理想論・机上の空論に腹立たしさすら覚えていたところ、私と同様今回の体罰指針について危惧する声は、ネット上でもかなり見られました。
 その中で、問題点を的確に指摘していると思われる記事をリンクします。☟

厚労省「体罰」指針案を大筋了承、体罰の定義・具体例や世間の反応をまとめ



 記事のコメントともダブるところはありますが、私なりに問題点を整理してみます。
① 子供の年齢差は考慮しないのか?
 幼児、小学生、中学生、高校生ではいたずらをはじめ行動パターンが全く違うが、杓子定規に体罰を規定してしまって、しつけとの区別はできるのだろうか? 叱り方もしつけの仕方も相当に違うはずだが…。

② 保護者と子供との関係やライフスタイルの違いは考慮しなくてよいのか?
 片親(母子家庭、父子家庭等)、両親共働き(面倒は保育士と祖父母が中心)など、母親一人が悪戦苦闘しなければならない場合や、昼間ほとんど祖父母が見ている場合など多岐にわたる子育てが考えられ、しつけの具体的方法や強弱・頻度等も違ってくるのではないだろうか。
 
③ 子供の性格やおかれた境遇によってもしつけのアプローチや強弱・頻度は違うはずだが線引きは明確にできるのか?
  厳しく指導したほうが良い場合、やさしく粘り強く指導したほうが良い場合などなど。

④ そもそも保護者(親)の教育方針(育て方)に国や公的機関がどこまで入り込めるのか?
 法律で各家庭を縛った挙句、意に反するしつけ・指導となり、子供を思うように育てられなかった場合に、国は子供の一生をかけてその責任を償ってくれるのだろうか。

⑤ 法律で規定しても罰則がない中、どの程度効果が見込めるのか?
 記事のコメントにもあるが、罰則がないならこれまで虐待を繰り返してきた保護者(親)には全く効果はない。それどころか生真面目な保護者・家庭が「法律を遵守しなくてはならない」と、厚労省指針をその通り実行した挙句、上記①・②の問題にぶつかって④となり、思い悩んでしまう状況が危惧される。

⑥ 暴言が身体への瞬間的な刺激より、子供の虐待につながるケースは多々あるはずだが…。
 これも将来暴言の判断基準のの指針を出すのだろうか? 言葉はもっと判断が難しく、同じ言葉であっても声量、口調、目つき、態度、もっと言えば受け手の感じ方で子供のプレッシャーの度合いは様々であるが…。

 以上、挙げればきりはありませんが、このように実際に家庭で判断しにくい基準・規則を押し付けるだけ押し付けて、子育てがうまくいかなくても自己責任というのはあまりにも横暴だと思うのです。
 記事にもありますように、本当に虐待の恐れのある保護者のチェック・監視体制と、いざいう時の救済方法、明らかに犯罪をおかした保護者等への厳しい処罰などに力を割く方がよっぽど実効性があります。

  世の中まだまだまともな保護者(親)の方が多いにも関わらず、国の施策が親を信用しない上から目線の強制では、本当に日本社会を崩壊させかねません。
 どうか、国(厚労省・有識者)には、ご自分が子育てをしてきたしつけ・教育を今一度思い出していただき、多数の良識ある親の目線に立って、実効性のある虐待防止策を考えてほしいと思います。
(まだまだ言いたいことはありますが、この辺で止めておきます)

プロフィール

わだしん

Author:わだしん
和田慎市です。公立高校退職後、私立高校で講師をしています。教鞭をとるかたわら、教師人生で学んだノウハウを多くの方に活かしてもらおうと、執筆・講演活動を行っています。H29年末に第三作「いじめの正体」(共栄書房)を出版しました。最近はアゴラ‐言論プラットフォーム‐に時々投稿しています。ご意見・情報交換はこちらへお願いします。なお、詳しいプロフィールはこちらから。

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