文科省前事務次官前川喜平氏の信用度とマスコミ報道

 ここ数カ月余り違和感を覚えながらも、誤解を恐れ自分の意見を表明せずにしてきたことがありました。しかし、本日(3月31日)の共同通信のある人物に関する記事を読み、さすがに我慢の限界に達しましたのでブログで意見を述べることにしました。
 その人物とは文科省前事務次官前川喜平氏です。先日前川氏が名古屋市立中学校で行った模擬授業? について、文科省が市教委に問い合わせをして講義内容・資料の提出を求めたことをマスコミが取り上げ、「教育現場への不当な政治介入だ!」として、文科省と同省に要望した国会議員を批判した報道を覚えている方も多いかと思います。そのインタビューの中で前川氏は「教育の自主性を犯す行為であり、政治家に屈して省が動いたことは極めて残念。」と述べたということです。
 
 私は公の場では、できるだけ人を好き嫌いで批判しないように心がけているつもりです。またこれまでも文部科学省の問題点を提起してきた人間ですので、単純に文科省を擁護するわけでもありません。私が前川氏を批判するのは、どう考えても信用できない具体的な裏付けがいくつもあるからなのです。私が彼を信用できない点を以下整理してみます。
1..彼が事務次官を辞職した直接の原因は、天下りが法・規則で新たに禁止された後も、文科省幹部職員の天下り斡旋を裏で続けていた張本人だったこと
2.教育行政のトップである文科省事務次官在職中に俗にいう「出会い系バー」に公用車で乗り付け、頻繁に出入り(週3回)していたこと(売春の温床場所であったとか前川氏の女性関係を疑う情報もあるが、その事実の有無に関係なく)
3.「出会い系バー」通いの理由を「貧困調査のため」といい、デートに誘った女性へ小遣いを渡したことも本人が認めている
4.加計学園問題で「行政がゆがめられた」「総理の意向の文言があった」というが、前川氏は直接首相または首相側近から聞いたはずの加計学園優遇に関する証言を何一つ具体的に提示できていないこと(すべて~思う、~解釈した、~受けとめたの表現)
5.「行政がゆがめられる」ほど重大なことならば、なぜ教育行政トップの地位・権限を行使できる現役時に官邸に意見を述べず、やめてから朝日新聞の加計問題報道後に表に出てきたのか?

 また多くのマスコミ・野党(全員ではありませんが)も信用できないのは、前川氏を天下り問題であれだけ厳しく批判・糾弾しておきながら、そのわずか数カ月後には彼を「政権に立ち向かう正義の味方」「すばらしい人格者」と祭り上げたことです。
 私は例えば「天下り問題では批判された前川氏だが、この部分の主張に関しては具体的な事実があり、信用して調べてみる必要がある」ということならまだわかりますが、あれだけ法律違反を犯し、教育最高責任者として不道徳極まる行為をした人を、「正義の人、人格者」として全面的に信用する論調で、A新聞はじめ多くのマスコミが取り上げたことにはあきれてしまいました。
 私は現在「メディア(情報)リテラシー」を自分なりに研究していますが、ここ数年で著しく劣化した政治家(特に国会議員)と大マスコミの言動は、まず疑うところから入って、様々な角度からクロスチェック・分析することをお勧めします。

反日デモが起きても日系の「高級車」や「パジェロ」が破壊されない理由

 サーチナの3月30日の記事によりますと、中国市場では日系車は好調な販売が続いているものの、中国では政治問題が直接特定メーカーにダメージを与えるケースが多いといいます。
 尖閣諸島をめぐる対立が激化した際には、日系車がボイコットや破壊の対象となりましたが、実はターゲットにされる車とそうでない車に分類できると言うのです。反日デモの際に「集中攻撃」を受けやすい車はヴィッツ、サニーなどコンパクトな大衆車などであり、レクサスやインフィニティなどの高級車やパジェロなどの大型SUVが破壊されることはないということです。
 この理由として、日系車に限りませんが高級車に乗る中国人は権力者が多く、またパジェロのような車に乗るのは筋肉隆々者や人民解放軍関係者が多いため、破壊してしまうと報復が恐ろしいからだというのです。特に中国の愛国者が絶対に攻撃、破壊しないであろう車は「トヨタ・コースター」で、中国政府関係者が視察の際などに愛用する車だからだといいます。
 つまり、反日デモで激高し暴れる人々も、ちゃんと冷静に破壊対象物を選別しているという実態があるわけです。このことは反日デモの多くが、庶民感情・世論から広がったものではなく、政府が直接ではないとしてもその関係者たちが裏で糸を引く形で国民を扇動し、意図的に反日デモを拡大していったのではないかと推測されます。
 一方、この記事の投稿者は、日本製の商品・部品はすでに中国の生活の隅々にいきわたっており、奥さんが持っていた日本製の化粧品を旦那が壊した時の奥さんの激怒を例に、日本製品不買運動は徹底などできず非理性的であると述べています。
 中国に限りませんが、ぜひ政府は政治によって国民の生活を不当に制約(不便に)するようなことがないようにしてほしいものです。

文科省がいじめ調査について教育委員会に要請

 29日朝日デジタルの記事によりますと、文部科学省は毎年実施している「いじめの全国調査」に関して、いじめが0件と報告した学校(小中学校で全校の2~3割、高等学校で約半分)について、保護者等校外に向け調査結果が0件だったことを知らせたうえで、教育委員会・学校に対し、本当にいじめがなかったか保護者・児童生徒から再確認させる旨の指導を行うということです。
 この背景には、いじめの報告件数や発見率が各都道府県・教育委員会で大きな開きがあるからというわけです。発見率が約30倍の開きがみられた年もあり、いじめの報告基準が県によってまちまちではないかということと、いじめの実態を考えれば0件は現実離れしており、教育委員会・学校に意図的な隠ぺいや改ざんがあるのではないかと疑念を生じていることです。

 私は拙著第三作「いじめの正体」の中で、はっきりと文部科学省の調査・分析・対応策に疑問を投げかけていますが、今日の記事を読んで「やはり文科省は何も変わっていない!」と、正直憤りを感じています。
 皆さんにも冷静に論理的に考えていただきたいのですが、私は本の中でいじめは人間の本質的な言動の1つであり、絶対になくならないものなのに、それを防止(根絶)しようとする現実離れした「いじめ防止対策推進法」の矛盾点を指摘しました。しかも、大人の論理・権力(法律)でいじめを根絶するとしながら、一方では「いじめはあるはずだから包み隠さず積極的に報告せよ!」と文科省が指導することはある意味矛盾していますし、論理的に破綻しています。もっと言わせてもらえば、報告を徹底していじめの問題が解決するのでしょうか? 2016年度には約32万件報告があったいじめについて、文科省が具体的解決策を提示するとか、直接対処してくれるのでしょうか? 全国的な凶悪事件でない限りほとんどやってくれませんよね。はっきり言いますが学校現場では上に報告しようがしまいが、大半の教師はいじめ解決の具体的な対処をしています。さらに、いじめの実態は善悪で単純化などできるものばかりではなく、いじめの事実が確認できない、いじめに当たるかどうか判断できない、いじめが虚言の可能性が高い、いじめの加害者と同時に被害者である、という複雑なケースが毎日のように起こっているのです。
 つまり、学校を信用せず「0件は信じがたいからもっと報告せよ!」とけしかければ、前述のグレーなケースや中には該当生徒や学校をはめようとする動きも起こりかねません。今一度いじめは根絶できない人間の本質的な言動であると共通理解をし、凶悪犯罪でない限り、学校・児童生徒・家庭が時間をかけて解決していく問題だと認識してほしいものです。
(今日はちょっと力が入ってしまいました)

「パチンコ景品買取所で強盗にダミー札束渡す」の記事を読んで

 今日はちょっと身近な防犯対策の話題を一つ。
 日テレニュース24の報道によりますと、27日午後11時過ぎ群馬県館林市のパチンコ店の景品買取所で、男がカマのような刃物でアルバイトの男性を脅し、現金2万円を奪う事件がありました。その時男性は、本物の紙幣が一番上と下だけの一見すると100万円の札束2つを重ねて差し出したのです。早く逃げたい犯人はよく札束を確認せずにそのまま逃げ去ったということですが、店は強盗への対策として、ダミーの札束を普段から用意していたといいます。
 
 なるほど、現実的な防犯対策ですね。理想としては全くお金を奪われず、即座に強盗犯が逮捕されることですが、実際のところ、犯人にお金を渡すことを拒否したり、勇敢に立ち向かったりすることは殺傷されるリスクが高まるため、そう簡単に取れる行動ではありません。まずは従業員に危害が及ばず、被害の程度をできるだけ小さくすることが発生現場では求められます。
 自分のことで恐縮ですが私の防犯対策の1つを紹介しますと、飲み会などで夜遅く一人で歩いて帰宅する時、必ず不審者に目をつけられていないか一定時間ごとに周囲を確認すること、すぐに緊急連絡ができるように電話を持ちながら歩くかポケットに入れた電話がすぐ取り出せる状態にすること、そしてまっすぐ速足で元気に歩くよう心掛けています。一言でいえば犯人にスキを見せないことです。
 それにしてもこのダミーの札束、皆さん何か思い当たることはありませんか? そう、現在拘置されている森友学園の籠池前理事長が、パフォーマンスで「安倍昭恵さんにいただいた100万円を返しに来た!」と言って、札束がこの事件と同様一番上と下だけ本物で中は白紙の偽物をマスコミに見せたあの光景です。まさか、この籠池前理事長の放送を見てお店が防犯対策に生かしたわけではないかと思いますが。

「2019年度からの中学校道徳教科書すべて検定合格」の記事を読んで

 時事通信の記事によりますと文科省は27日、2019年度から中学校で使われる道徳の教科書の検定結果を公表しましたが、申請された8点(30冊)すべてが合格したということです。
 この道徳の教科書は、すべてがいじめを取り上げており、情報モラルなどをテーマにスマートフォンやインターネット、SNSについても全社が扱っているそうです。

 宗教(キリスト教)が生き方・考え方の支柱になっている欧米諸国などと異なり、宗教が生活に密着していない国民が多数を占める日本においては、道徳教育の必要性については私を含めて多くの方が認めるところではないかと思います。しかしながら、道徳を教科化することは個人的にはあまり賛成できません。総論的に社会の在り方、人の生き方、人との接し方、ものの考え方などについて、概要をある程度活字にまとめておくことは良いと思いますが、良心、信条、規範意識など内面的なことについて、具体例を挙げてとるべき言動を詳細に記載することになれば、問題視せざるを得ません。
 確かにどんなに時代が変わろうと、人間として、あるいは日本人として不易なことは一定割合存在します(私は教育の不易な部分を大切にする人間です)。しかし、逆に時代とともに価値や判断基準がどんどん変わっていくものもあります。例えば「家族の在り方」1つをとっても、求められる(理想とされる)父親・母親像や役割は間違いなく変化してきています。さらに「善行」と言われる行為も、自分に厳しい人と自分に優しい人では、考え方や取り組みに違いが生じて当然です。
 教師が道徳教科を児童生徒に教える場面を想像しますと、教科書が具体的・詳細すぎるほど、記載の事例を扱いづらくなります。なぜなら教師が実際に体験した話ではないし、それこそ教師自身が持っている善悪の判断基準には個人差があるからです。教科書・指導要領に絶対従おうとすれば、どこか説得力のない形式的な話になってしまうかもしれませんね。
 道徳教育は学校だけでなく、家庭、地域社会、職場でも必要なことです。それこそ個人としてそれぞれ人生を前向きに生きてきた多くの先輩方が、自身の信念、人生の成功談・失敗談を子供たちにリアルに伝えていけば、子供たちはそのたくさんの生きた道徳教材から、自分らしい、前向きな生き方・信条を確立していくためのヒントを、見つけられるのではないでしょうか。
 拙著「いじめの正体」でも指摘しましたが、何かにつけて世界では特異な教育中央集権体制をとる文科省が、規則・マニュアルを作り、それを全国すべての学校に一律に(押し付けて)指導するやり方からそろそろ脱却すべきではないでしょうか。

八ヶ岳で7人が滑落し、3人の死亡が確認される

 25日午前8時35分頃、長野県の八ヶ岳連峰阿弥陀岳(2805メートル)南稜付近で複数の登山者が滑落したと、他の登山者から110番通報がありました。県警によりますと、滑落したのは関西から来た30~60代の男女7名のグループで、ヘリコプターで救助されたものの、3人は搬送先の病院で死亡が確認され、他の4人も重軽傷を負ったということです。
 県警によりますと、標高約2600メートル付近の尾根から先頭が滑落したのですが、7人全員がザイルでつながっていたため、次々と一緒に300メートル余り滑落し、その時発生した雪崩に死亡した3人が巻き込まれたということです。
 
 大変痛ましい事故であり、遺族の方々は突然の訃報をいまだに信じられない(信じいたくない)気持ちでしょう。冬に限らず本格的な登山経験のない私が、事故の原因究明などとてもできるものではありませんので、あくまで素人見解ですが、登山をする時に心配な点を挙げてみます。
① 私はそれほど高くない夏山に運動靴で何度か登ったことがあるが、このような低い高度の山でも、切り立った尾根線を歩く時、滑落の恐怖を感じたことがあるから、ましてや冬山や3000m級の高山において、滑落の危険度はさらに高まるはずである。
② 登山だけでなく、様々なスポーツやレクリェーションで、高齢者の参加率hさ年々高まっているが、私も含め高齢者は運動神経・体力などについて、自分が頭の中で認識しているレベルと、実際の能力・体力の誤差が大きくなる。
③ やはり登山だけではないが、元々専門知識のないスポーツを高齢になってから始めた場合、どうしても危機管理・危険察知があまくなりがちである。

 退職して時間が自由に取れるようになった時、何らかの趣味に没頭するのは、若さを保つためにも大いに結構なことですが、特に危険を伴うようなスポーツや活動にかかわる場合には、経験者の意見をしっかり聞き、あらかじめ最悪の事態を想定した安全・危機管理の対策を立てておくのが良いと思います。

「免許取ったばかりの女子高校生、男児はね死なす」の記事を読んで

 24日の読売新聞の記事によりますと、23日午後6時5分頃、富山県射水市の県道を歩いていた近くの保育園児が、前から来た県内の高校3年生(既に卒業)の女子生徒の軽乗用車にはねられ頭を強く打ち死亡したということです。また、運転していた女子高生と同乗の女子高生にけがはなかったそうです。
 運転の女子高校生は今月中旬に免許を取得したばかりで、家族の車に乗っていたということで、保育園児は50メートル先の自宅に一人で帰る途中だったということです。

 さてこの事故ではいくつかのリスクが重なっています。まず女子高校生が免許取り立てのため、危険察知・状況判断力に欠けていたことです。次に保育園児が保護者の付き添いを断り、短距離ではあるものの一人で歩いて自宅へ向かったことです。そして、薄暗い夕暮れ時の時間帯で、現場での視界が悪かったことです。
 直接の事故原因について、この記事には何も記載されていませんでしたので軽はずみなコメントは控えますが、この事故から得た教訓を、免許取りたての高校生とその保護者に、私からも若干アドバイスしておきたいと思います。
自動車免許取得直後の留意点
① 家族の車を運転する場合、自家用車所有者(親や兄・姉など)の任意保険に、子供(未成年者)が保険適用対象になっているか必ず確認し、入っていなければ保険手続きの可否を確認(可能なら手続も済ませる)したうえで運転する。
② 保護者は免許取得間もない未成年者に運転をさせる場合、上記①の確認とともに、運転経験豊富な成人がしばらくは必ず運転に同乗する。
③ 未成年で自家用車を購入した場合(当然保護者の承諾が必要)は、安心できるレベル(車両保険、自損、搭乗者保険などが付帯する)の任意保険に必ず入ること。

 せっかくドライブを楽しもうとしたのに、保険未加入状態で死亡事故を起こそうものなら、物心両面で一生の痛手を負うことになりかねません。ぜひとも自動車運転に関しては「転ばぬ先の杖」を実践するようにしましょう。

「緊急地震速報に新手法、気象庁巨大地震で精度向上」の記事を読んで

 22日共同通信の記事によりますと、大地震の発生時にスマートフォンのブザー音等を自動的に鳴らして知らせる緊急地震速報について、気象庁は22日から新システムを導入し、震源域が広い巨大地震が起きた場合、震源から遠い地域の強い揺れも高い精度で予想できるようにしたということです。
 従来の手法は初期微動を捉えるため、離れた場所での強い揺れの予想が正確にできないことがありましたが、新システムでは強い揺れを観測した各地の震度計が実際の揺れから解析するため、震源から遠く揺れが届いていない地域にも予想震度を伝えられるようになったといいます。

 東海地震の予測でも明らかになったように、現在の科学では地震の発生を、短い期間に絞り高い的中率で予測することは不可能です。中途半端な地震発生予想情報を市民に伝えれば、パニックをあおるだけで日本は大混乱に陥ってしまいます。今の時点でできることは、この記事にあるような発生直後の緊急地震速報の精度を高めることでしょう。震源から遠い地域にも揺れの大きさが瞬時に正確に伝われば、「机の下に入る、2回に駆け上がる、ガス・火を止める、戸を開ける」、といった10~20秒でできる応急対処が可能になります。
 そして要望として、例えばケガが心配されるような震度4以上の揺れが起こりそうな地域だけに、テレビやパソコン・スマホへ緊急地震速報が流されるようなシステムに変えてほしいのです。私も含め多くの市民は、これまでテレビ等で緊急地震速報が流れた時、揺れをわずかに感じる程度だったことが多く、、「何だ、ここは大したことはないじゃあないか。」と感じがちです。このことが何度も繰り返されると「オオカミが来た!」ではありませんが、本当に大きな揺れが起こる時でも、「どうせまた小さい揺れだろう」とたかをくくり、緊急地震速報が流されても緊急対処・行動をとらなくなってしまいます。
 いずれにしましても緊急地震速報がなったら皆が即座に緊急避難・防御行動がとれるように、放送システムや啓蒙・研修を徹底してほしいと思います。

(私立)医学部大量留年の驚くべき実態

 2日前に、医学部志望者が急増している記事を取り上げましたが、21日の文春オンラインの記事に続編が掲載されていたので取り上げました。前回問題点として、受験者が増えればモチベーションが低かったり適性がなかったりする学生が増える負の面を指摘したと思いますが、この記事にまさしく具体例が記載されていました。
 特に後発の新設私立大学は、かつて裏口入学(例えば得点1点を100万円で買うことで点数の上乗せをする)で話題になったような大学もあり、大量留年や医師国家試験合格率の低下が顕著になっているというのです。
 ある私立大学では、定員120名のうちストレートに6年間で卒業できたものが40名、留年して卒業後何とか国試に合格できた者が40名、残りの40名は転部、中退、放校となっているといいます。また卒業したものの、国試になかなか受からず200名ほどが溜まっているという噂もあるそうです。
 一方、同じ私立でも国試の合格率が高い大学は、「医師になる!」というモチベーションが高く、100名のうち6年で卒業できない学生は2,3人だということです。このように医学部における格差が広がっているのです。
 先ほどの国試合格率の低い大学は、開業医の子弟である学生も多いようで、1年間500万ともいわれる学費の負担、外車(ベンツ等)の購入に、留年分のプラスアルファが加わっても経済的に困るようなことはないようですから、子供も危機感に乏しいのでしょうね。
 また、大学側にとっても学生の留年が増えれば、結果として延長分の授業料が収入として余分に増え、経営面でもプラスになるわけです。

 さて、いくら親が高収入だからと言って、いつまでも卒業できなかったり、卒業できても国試に受からず医者になれなかったりすれば、親の投資も全く無駄になりますし、何より本人の人生にとって取り返しのつかないことになるかもしれません。前回の繰り返しになりますが、本人が自分の能力・適性・生き方を冷静に分析するとともに、保護者も子供の立場になって将来を考えてあげる必要があるのではないでしょうか。

韓国文大統領にノーベル平和賞を?

 20日の産経新聞によりますと、韓国で文大統領のノーベル平和賞受賞を目指す委員会が結成される予定でしたが、世論の反発に加え大統領府も難色を示し、計画は霧散したとのことです。
 弁護士協会など約120の団体からなる市民フォーラムは、「文大統領ノーベル平和賞推進委員会」を5月初めに発足させることを発表し、発起人会議を行う予定でした。彼らは文氏が南北対話のムードをつくったと評価し、トランプ米大統領や北朝鮮金正恩委員長との共同受賞も進めるつもりだったといいます。しかし、大統領府HPの掲示板に市民の反発が掲載され、大統領府も20日、「こんな動きは望ましくない」と困惑気味の立場を発表したため、市民フォーラムは同日解散宣言をしたということです。

 まさしく韓国でも、様々な意見や政治的見解を持つ人々がいることがあらためて認識された記事でした。文氏は明らかに「親北政策」をとっていますが、性急すぎる対話は北朝鮮主導で外交が行われる危険があり、大統領支持派からも不満が出ていることは事実です。まあ、最近のノーベル平和賞受賞の状況を見ても、何らかの政治的意図や特定組織の働きかけが影響しているのではないか、という憶測も流れるくらいですから、驚くような動きではないかもしれません。それにしても金正恩委員長まで受賞対象とは…。
 韓国が北朝鮮との外交をどのように進めるかはまさしく韓国自身が決めることではありますし、一般論としては日本など外国が他国の外交方法について、いちいち指図をするのは内政干渉にあたると思われます。しかし、北朝鮮が核兵器を保有し、弾道弾発射実験を繰り返している現状を考えれば、韓国の対応によっては日本の安全が脅かされる可能性があるわけですから、東アジア地域集団安全保障の観点から、他国(同盟国)が意見を述べることがあってもよいはずです。
 北朝鮮・金正恩からすれば、本音ではまともにアメリカと戦争はしたくないでしょうから、融和政策をとる文大統領を利用したい思惑があるのは当然でしょう。パラリンピックが終わったこの1~2週間が最も大事な時期であり、大きな動きが起こる可能性があります。 この重要な時期に日本が森友問題で大騒ぎをし国会が空転する事態が続けば、かつての尖閣諸島漁船衝突のように、混乱のスキに近隣国が何らかの行動に出てくることを危惧せずにはいられません。
プロフィール

わだしん

Author:わだしん
和田慎市です。公立高校退職後私立高校講師を務め、令和5年度から静岡県公立高校で非常勤講師をしています。教鞭をとるかたわら、教師人生で学んだノウハウを多くの方に活かしてもらおうと、執筆・講演活動を行っています。昨年9月5日に新刊(第5作)「弱みを強みに変える魔法のフレーズ99」(アメージング出版)を出版しました。最近はアゴラ‐言論プラットフォーム‐に時々投稿しています。ご意見・情報交換はこちらへお願いします。なお、詳しいプロフィールはこちらから。

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